貸切バス事業者安全性評価認定制度とは
団体旅行・社員旅行で利用頻度の高い貸切バスですが、貸切バスには事業者の安全性を測る安全性評価認定制度が存在します。
この制度は2025年度申請から新たな基準による審査となる事が決まっており、今回は貸切バスの安全性評価認定制度とその変更点についてご説明いたします。
●制度の概要
貸切バス事業者安全性評価認定制度は、貸切バスを利用するお客様が、安全性の高い事業者を選びやすくするための制度です。
国土交通省の指導のもと、公益社団法人日本バス協会が実施しており、事業者の安全への取り組みを審査し、星の数(★1~3)で評価してきました。
評価の対象は、法令遵守、事故記録、運行管理体制、車両の整備管理、運転者の健康管理や教育研修、安全マネジメントシステムなど、多岐にわたります。認定事業者は車両やホームページなどに「SAFETY BUS」マークを掲示でき、お客様が安心して選べる目安になっています。
●制度変更の背景
近年、コロナ禍を経て貸切バス需要が回復する一方、人為的ミスや健康起因事故への懸念が高まっています。
安全管理をより一層強化する必要があると判断され、制度が大幅に見直されました。
①制度変更のポイント(2025年度申請から本格実施)
評価段階が★3から★5に拡充されます
これまでの最大★3から、より細かい安全レベルを示せる★5段階評価に変わります。
新規申請時は60点以上で★1が付与され、以降、2年ごとの更新で得点に応じて昇降します。
②法令遵守は前提扱いになり加点なしへ
従来は法令遵守に20点が与えられていましたが、「守るのは当然」という考え方から加点ゼロに変更されます。
③配点構造が見直されます
安全取り組み強化項目の配点が40点から55点へ増加し、運輸安全マネジメントも20点から25点に引き上げられます。
また、事業者の規模による評価の違いはなくなります。
④違反・行政処分のペナルティが強化されます
従来は減点の上限が10点でしたが、累積違反点数に応じて無制限に減点されるようになります。
加点対象が充実します
⑤ 先進安全自動車(ASV)の導入に加点されます(衝突被害軽減ブレーキ、車線維持支援、ドライバー異常時対応装置など)。
⑥健康管理の強化も対象となり、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の検査に加え、心血管・視野障害などを確認する制度も評価されます。
専門機関での実技研修や山岳・雪道走行訓練、安全研修の充実も加点対象です。
アルコール検知器の高度化、点呼内容の録画保存なども評価されます。
⑦ 認定マークが新デザインに変更されます
「SAFETY BUS」のマークが刷新され、★5段階を反映した新しいデザインになります。
●実施スケジュール
2024年度申請から一部の変更が先行実施されています。
2025年度申請(2024年度実績の審査)から、新基準が全面適用されます。
2025年度の申請期間は4月1日から4月30日です。
●まとめ
貸切バス事業者安全性評価認定制度は、これまでの★3段階から★5段階へ拡充され、評価項目も大幅に強化されます。法令遵守は当然とし、先進技術の導入や運転者教育、健康管理の充実がさらに重視されます。今後は、より高い安全対策を実施する事業者にこそ、高評価が与えられる仕組みに変わります。
団体旅行・社員旅行をご計画の方は、是非参考にしてください。
